米ドル/円相場は、9月11日の1ドル=100.61円をピークに、97円台後半まで軟化する展開になっている。米連邦債務上限問題の先行き不透明感が強まる中、米金利低下の動きと連動する形でドル/円相場も軟化している。米金融政策見通しを巡る議論が交錯する中、再び連邦債務問題がメインテーマとして浮上した形になっている。
米議会では週末も協議が行われているが、共和党が多数派を占める下院は医療保険改革法の実施を1年遅らせる条項を含んだ暫定予算案を可決している。暫定予算の適用期間は10月1日から10週間であり、下院もこれに同調すれば年内に債務上限問題がパニック化する事態は回避できる計算になる。ただ、オバマ政権は医療保険改革法の修整には強い拒否反応を示しており、1996年以来、17年ぶりに政府機関が閉鎖されるリスクが本格浮上している。この問題に結論が出るまでは、突風的な米金利低下・ドル安(円高)圧力に対する注意が要求される。もっとも、米政府のデフォルトといった事態は誰も望んでおらず、トレンドとしては一時的なドル高圧力との理解で十分と考えている。リスクを取れるのであれば、ドルを安値で調達する好機になる可能性が高い。
一方、米金融政策については当局者からタカ派とハト派の発言が交錯していることで、決め手を欠いている。シカゴ連銀総裁からは、ディスインフレに対する懸念なども表明されているが、現時点ではバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の年内緩和縮小見通しに修整を迫るまでのインパクトはなく、特に金融政策見通しが大きく修整されることはないだろう。今週末の米雇用統計の結果に注目したい。
テクニカルでは、一目均衡表の雲がある97.75~98.15水準での差オートを試す展開に。ここを下抜くと次の支持線は95.00円。サイコロジカルは、前週の5勝7敗から3勝9敗に。14日RSIは43.16。
今後1週間の予想レンジは、95.00~99.50円。